2020年1月19日に、三重県身体障害者総合福祉センター支援部に勤務されております臨床心理士の島村 藍先生に演題「高次脳機能障害 -回復期を終えてから社会復帰までの道のり-」をご講義頂きました。

 高次脳機能障害へのアプローチは常に困難で複雑で興味深い内容であり小職はこの類の研修には割と積極的に参加させて頂いています。それは学生時代にご講義頂いた現在、日本福祉大学健康科学部リハビリテーション学科教授の石井文康先生の授業が余りにも面白くて楽しくて興味深いものだった事から端を発し、作業療法士の奥深さに引き込まれ現在に至ります。また小職は元々心理学にも興味があり同じく当初授業頂いた臨床心理士の先生の授業で「箱庭療法」に触れた際の衝撃を今も鮮明に覚えています。臨床心理士に接触したのがこの時人生初めての事で、作業療法士とはまた違う奥深い業種に感銘を受けました。

 今回ご講義頂いた内容は作業療法士目線による高次脳機能障害の講義ではなく臨床心理士目線だった事で新鮮な気持ちで聴講させて頂きました。講義以外にグループワークもあり課題に対するアプローチもできました。

 島村先生がコメディカルへの情報提供の際に心掛けている事として「読み手がその人の息づかいを感じられるような所見を」や医学と心理学の違いでは医学は「診る,看る」、心理学は「観る」、また高次脳機能障害の患者様との対話では「わたし」が「あなたの脳」をみる「二項関係」でなく、「わたし」と「あなた」で「あなたの脳を」みる「三項関係」の方がうまくいくなど、何か学生時代に忘れてきたものを思い出させてくれた気がしました。

 職種は違えど患者様の「社会復帰」いうゴールは同じで、それに向かってどうしたら良いのかというアプローチがそれぞれの専門性でお互いを補完しあうという多職種連携についても改めて考えさせられた講義でした。これからも高次脳機能障害の方と関わっていく事は続きますが、そういう意味で今回改めてスタート地点の再確認ができてとても有意義な講義でした。

(文責:阿児第2通所介護センター真珠荘 南 基典)

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