令和2年3月8日(日)に開催予定の三重県作業療法学会では特別講演として、大分県の井野辺病院、加藤貴志先生をお招きし、「作業療法士による自動車運転支援~研究の進歩と臨床実践~」と題してお話を頂きます。昨今、自動車運転の話題がメディアでもよく報道されますが、加藤先生はOTの中で先進的な活動をされています。また、使用している施設もあると思いますが、脳卒中ドライバーのスクリーニング評価:日本版SDSA開発もされています。非常に貴重な機会ですので、ご参加頂けると三重県内の自動車運転支援の発展や皆様の今後の臨床に繋がると思います。是非ともご参加を宜しくお願い致します。

以下、加藤先生の抄録と略歴をご一読ください。

井野辺病院 加藤貴志

【略歴】

2000年:熊本リハビリテーション学院 作業療法学科卒業 作業療法士免許取得 井野辺病院入職

2010年:大分県立看護科学大学大学院博士課程入学

2015年:井野辺病院リハビリテーション部副部長

2017年:大分県立看護科学大学大学院博士課程修了(健康科学博士)

大分県立看護科学大学共同研究員

 

【主な研究業績】

1.論文

(1) 加藤貴志・他:脳損傷者の運転技能に関与する認知機能について,日本臨床作業療法研究,2016

(2) 加藤貴志・他:脳損傷者の実車運転技能に関連する神経心理学的検査について:システマティックレビューとメタ分析,総合リハビリテーション,44巻12号,2016

(3) 加藤貴志:脳損傷者の自動車運転をどのように支援するか 井野辺病院における自動車運転支援,作業療法ジャーナル,Vol. 46,No. 5,2012

(4) 加藤貴志,末綱隆史,二宮恵美,佐藤俊彦,岸本周作,井野辺純一:脳損傷者の高次脳機能障害に対する自動車運転評価の取り組み-自動車学校との連携による評価CARDについて,総合リハVol. 36,No. 10,2008

(5) 加藤貴志,岸本周作,井野辺純一:脳卒中後麻痺を促通する物理療法,物理療法科学Vol 26, 2019

 

2,受賞

(1) 第1回大分県リハビリテーション医学会最優秀論文賞,2009

(2) 第16回世界作業療法連盟大会優秀演題セッション,2014

(3) 第25回総合リハビリテーション賞,2017

 

3,機器開発・特許

(1) 加藤貴志,大戸元気,山川浩二: 2筋同時電気刺激装置DRIVE,株式会社デンケンより商品化

(2) 加藤貴志:手指装着型電極及びこれを備えた電気刺激装置,特許(開発者),株式会社OG技研より商品化

(3)脳卒中ドライバーのスクリーニング評価 日本版SDSA開発:新興医学出版社より商品化

 

作業療法士による運転支援の研究数は増加してきており、2019年の日本作業療法学会の関連演題数は44演題に達している。井野辺病院にて運転支援が始まったのは2006年ごろであった。当時運転支援に関する論文は少なく、海外の研究を頼りに試行錯誤の実践から学ぶ必要に駆られていた。その過程で多くの対象者と関わり、運転に対する思いや生活への影響について学ぶ機会を得た。臨床実践における対象者への関わりと研究報告をNBMとEBMの一端ととらえると、運転支援は相互の循環により発展してきたと考えられる。臨床実践から得られた知見が研究発表となり、その研究成果が再び臨床に還元されることでさらなる発展がなされると考えられる。

本講演では井野辺病院における運転支援の臨床実践を紹介するとともに、最近の研究動向を概観する。これによって今後の臨床実践に有益な情報を提示したい。具体的には、運転技能予測に有効な神経心理学的検査や運転技能向上に有効な訓練、また半側無視、認知症などの事例を通して疾患ごとの支援例を提示する。本講演が参加者の運転支援の向上に役立てれば幸いである。